NC1000sについて (2)

NC1000sは,発売期間が短かったために,交換レンズなどのアクセサリーの入手が必ずしも容易ではありません。しかし,実はさまざまな方法で,さまざまなレンズを楽しむことができるようになっているのです。

プラクチカスクリューマウントレンズを使う

マミヤの35mm一眼レフにおいて,NCシリーズの前のモデルはプラクチカマウントを採用していた。そのため,NCシリーズへの移行によるレンズマウントの変更にともない,前モデルのレンズを使用できるようにアダプターが供給されていた。プラクチカマウントを採用していた,マミヤセコールSXなどのレンズは,描写も良く,使う価値が高い。また,全世界にプラクチカマウントレンズはあまたあるので,それらを活用するのもおもしろい。
 基本的に,NC1000sのCSマウントは,プラクチカマウントの自動絞りレンズをバヨネットに変更し,開放F値伝達と絞り制御のピンを追加したマウントなのである。プラクチカマウントの自動絞りピンと同じ位置,同じストロークのピンで絞り込みをおこなう。したがって,自動絞りが効くマウントアダプターが実現されている。しかし,開放F値と絞り情報は伝達されないので,ボディ右手側にある絞り込みボタンでTTL絞り込み測光をおこない,絞りまたはシャッターリングを調節してファインダー定点に指針を合わせる操作が必要になっている。

装着例
(1) マミヤセコールマクロ 60mm F2.8

(2) オートマミヤセコールSX 300mm F5.6

(3) プラクチカ用パンカラー 80mm F1.8

プリセット絞りの(1)以外は,すべて自動絞りが作動する。

同じマウント爪を持ち,Pマウントアダプターを共用するZEシリーズは,自動絞り機構がまったく異なるので,残念ながらプラクチカマウントレンズを自動絞りで使えない。

 前モデル,プラクチカマウントのセコールSXシリーズには,開放測光連動ピンがマウント面に突出していて,ヤシカ・コンタックスやミノルタMDなどのプラクチカマウントアダプターではこのピンがボディに干渉し,絞り操作ができない場合がある。しかしもちろん,NC1000sやZEシリーズのマウントにはこのピンを逃がす面取りがなされており,スムーズな操作が可能である。NCやZEのマウントがなぜ複雑な形状をしているのか,実は先代の遺産を活用するためなのだ。

タムロンアダプトールレンズを使う

筆者(れんずまにあ)が,「タムロンNC1000用マウント」と騙されて(嘘,単なる勘違い)購入したアダプトールマウント。実はマミヤM42スクリューマウント用タムロンマウントと純正Pアダプターの組み合わせ「ナンチャッテNC1000マウント」だった(笑)。上記のスクリューマウントセコールの場合とまったく同じ理屈で自動絞り可能。タムロンの優秀なレンズをもって,セコールCSレンズのラインアップに欠けた焦点距離を補うことができる。特に望遠マクロや超広角,高倍率ズームはありがたい。


NC1000S諸元 (カメラレビュー別冊「クラシックカメラ専科」36号「マミヤのすべて」参考,訂正。)

発売 昭和53(1978)年10月
標準レンズ AUTO MAMIYA-SEKOR CS 50mmf1.4(6群7枚ガウス型), CS 50mmf1.7(5 群6枚ガウス型)
マウント 内3爪バヨネット式(専用,マミヤ4つ目のバヨネット)
シャッター 布幕横走行式電子制御フォーカルプレーン,1/1000〜1秒・B,機械式セルフタイマー内蔵
フラッシュシンクロ FP,X接点
ファインダー ペンタプリズム固定アイレベル,倍率0.94倍,斜めスプリット・マイクロプリズム・マット併用式スクリーン標準装備,スクリーン交換可能(スプリットプリズム,マイクロプリズム,全面マット,十字線マット)視野左下に絞り目盛り1.2〜16および露出計アナログ指針
露出制御 CdS素子使用によるTTL開放測光シャッター速度優先AE,絞り指針直読式TTL開放測光式マニュアル露出(以上専用レンズ),定点連動式TTL絞り込み測光マニュアル露出(その他レンズ)
測光範囲 中央部重点平均測光,連動範囲EV2〜18(ASA100,F1.4レンズの場合)
フィルム感度設定範囲 ASA25〜3200
電源 SR44/G13銀電池x2個
フィルム給送 上部レバー130度回転,予備角15度,自動巻き上げ装置は用意されていない
サイズ重量 136x83x98mm,920g(F1.4付き)
発売時価格 4万4000円(ボディ)7万1000円(F1.4付き)6万2000円(F1.7付き)ケース4000円

by れんずまにあ


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