スペーサーカメラ製作記

ユニバーサルプレスのスペーサーを改造して,コンパクトな広角カメラを実現されている,れんずまにあ様のレポートです。

スペーサーカメラの特徴

底面に,底ネジアダプタを介して取りつけた,クイックシューです。旧型マミヤのシューアダプタや,ハッセルブラッドのクイックシューに互換性があり,さらに三脚ネジもある優れものです。ちょっと曲がって付いているのはご愛敬で(笑)。

斜め下からみた全体像です。前板は黒のアクリル板で,マミヤ接写リングを短く切ったものを穴に入れてエポキシ系接着剤で止めてあります。マウントは,接写リングのNo.1部分がスクリューインされるようにしました。フランジ調整の不備で,紙のスペーサーを入れたので若干レンズは回転した位置で装着されます。接写リングのレンズロックネジは,大変脆弱で,すぐ折れてしまいました。

バック部分を外したところです。Mアダプターにピントグラスを装着しています。内面に植毛紙を貼って,反射対策にしています。

上面からみたところです。六角ボルトでスペーサーにボルトオンされた5mm厚アルミ板。左右はストラップアイレットを切ってあります。アクセサリーシューは,市販のものを使いました。

製作手順

いろいろと手際が悪く,最終的に焦点がずれて紙やラバーでスペーサーを入れたりしましたので,見てくれはたいへん醜くなりました。また,ファインダー,露出計,距離計の3個を並べようとシューの穴を作りましたが,結局ファインダーしか使わないので1つは化粧ビスで塞いでしまいました。(まったく化粧になってないって?)

  1. スペーサーNo.2を切断。
  2. スペーサーの内径に合うように,前板用1cm厚黒アクリル板に面取りし,中央に接写リングが入る穴1つと支柱が通る穴4つを開ける。
  3. スペーサー支柱4本を前板に合わせて短く切断し,タップ切り。
  4. スペーサー上面に2個(アクセサリー用),下面に1個(三脚穴用)穴を開ける。
  5. アクセサリーシューのベースに5mm厚のアルミ板を整形し,シュー用のタップを切る。ついでに左右にストラップアイレットを作る。
  6. ベースのアルミ板を六角ボルトでスペーサーに固定。
  7. 下面に底ネジアダプタを介してクイックシューベースを装着。スペーサーとの結合は同じく底ネジアダプタをナット代わりに使用,エポキシ系接着剤で固定。
  8. 前板とスペーサー後部を4本の支柱を介してボルトオン。
  9. ピントグラスで無限を確認しながら,前板中央の穴に短く切断した接写リングNo.2のスクリュー部分をエポキシ系接着剤で固定。
  10. 内面に静電植毛紙を貼って完成。

製作上の問題点

製作において,スペーサーは極めて硬いスチールでできていますので,普通の鋸では歯が立ちません。ダイヤモンド糸鋸も,少し切ったらもうぼろぼろになってしまい,穴開けもハイスのドリルを数本だめにしたあげく,最終的にダイヤモンドカッターがある知り合いの鉄鋼作業所に泣きつきました。

完成後,三脚座はこのスチールにボルトオンされているのですが,まったくボディに剛性がなく,ふにゃふにゃ動いてしまいます。苦労した割にはこのスペーサーはボディの材料としては向いていないのではないかとさえ思えてしまいます。もちろん手持ちで使用したり,プレスで本来のスペーサーとして使用する分には何ら問題はありません。

使用感

軽量化を狙ってこういうものを製作しましたが,マミヤプレスはレンズ自身が重量がありますので,実感として軽量化の恩恵はあまり感じられません。おもに50mmレンズをつけて,目測フィールド広角カメラとするか,75mmレンズをつけてポラロイドカメラとするかで使用しています。

今後

次に製作するとすれば,グレーのスタンダードの距離計ファインダーを取り去って,アオリが効く広角専用カメラを作ってみたいですね。信頼性はスペーサーカメラよりも遙かに高いものができるでしょう。

by れんずまにあ


戻る