Mamiya ZE-2 Quartz

●カメラについて

 1980年11月,下位モデルのZEクォーツ(同年7月発売)とほぼ同時期に発売された35mm判一眼レフカメラである。ZEクォーツと同様に,クォーツ制御のシャッターを採用している点が,セールスポイントになっている。シリーズ名の「ZE」に使われている「Z」の文字は,アルファベットの最後の文字であるが,ここでは「quartz(クォーツ)」の綴りの最後にある「Z」を意識したものと思われる。奇しくも「ZE」シリーズは,マミヤとして最後の35mm一眼レフカメラのシリーズになってしまったわけであるが。
 ZEシリーズの特徴である電気接点を多数もったレンズマウントは,「ミラクルマウント」と名づけられていた。ZEシリーズ用交換レンズ「MAMIYA-SEKOR E」には10個の電気接点があり,次のような情報をやりとりすることができるようになっている。

表 Mamiya-sekor Eレンズでやりとりされる信号
ピン信号
(1)基準電圧1
(2)開放絞り値
(3)最小絞り値
(4)基準電圧2
(5)レンズ焦点距離
(6)
(7)
(8)開放補正
(9)
(10)

ZEボディには電気接点が3個しかなく,これらのうち(1)〜(3)の信号のみを使用していた。ZE−2ボディの電気接点は6個になって(1)〜(6)の信号を利用できるようになり,「レンズ焦点距離」の情報を利用して,装着したレンズの焦点距離に応じた手ぶれ警告を発することができるようになっていた。このように凝ったしくみをもちながら,絞り値は機械的に伝達していたあたりに,詰めの甘さを感じてしまったりするのだった。

●撮影について

 マミヤZE−2は,絞り優先AEに加えて任意のシャッター速度を選択できるマニュアル撮影も可能になっていた。しかしながら,マニュアル撮影時には,内蔵露出計を利用することができない。ファインダー内の表示はZEと同じく,絞り優先AE使用時のシャッター速度を1/1000秒〜1/30秒および1/15秒以下を示すLTの7段階をLEDによるドットで示すのみで,マニュアル露出時には,「マニュアルモード」を示すLEDが点灯するだけである。
 ZEおよびZE−2発売時の交換レンズは,以下のようなものが用意されていた。全体的には平凡なラインアップであるが,このなかでは当時はまだ少なかった28mmという広角域をカバーするズームレンMamiya-sekor E Zoom 28-50mm F3.5-4.5の存在が特筆される。1981年の「カメラ総合カタログ Vol.71」(日本カメラショー)において,ZEおよびZE−2のボディとこのズームレンズのセットが掲載されているが,これは広角ズームレンズ付きで発売されたカメラとして,最初の事例に思われる。
 しかしながら,後に28-85mmクラスのズームレンズが登場すると,スペック的にまったく目立たないものとなってしまった。コンパクトで描写もよいレンズだっただけに,惜しまれる。

ZE−2の電源としては,ボタン電池(LR44またはSR44)4個が必要である。それは,下の画像のようなケースに入れて,ボディ底部からさしこむようになっている。これは,ZEとも共通である。また,ワインダーZEも,ZEと共通である。

(by MATIA)


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