返信 1 抹鯉
投稿日 2022/04/01(金) 00:01:02
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かつて存在した濃度式露出計は「迅速を欠く」「指示の誤差は著しい」という欠点がある。
電気式露出計も「ある場合は正確に近く,あるい場合には差異が甚だしい」かも知れない。
それでは計算尺(計算盤)露出計はどうかと言うと「極めて不親切で面倒」なのである。
計算尺(計算盤)露出計は言い換えれば理論と経験則に基づいた換算表なので、
元のデータが正しければ、牽き出されるデータも理論的に正しい「はず」である。
その変換式は間違いが無いように作られているのでいつでも答えは正しいはずである。
もし計算結果が間違っているとすれば、元のデータが間違っているという理屈が通る。
つまり、計算結果が不正確だった場合でも、それは計算尺(計算盤)の問題ではなく、
撮影者が不的確な情報を選択入力したのが原因だという結論に丸め込まれるのである。
このように傲慢な態度で作られた露出計算尺(計算盤)は避けられても当然のことで、
親切な(ややお節介な)電気露出計が進化普及するにつれ静かに忘れ去られていった。
二十世紀に普及していた計算尺(計算盤)露出計は、
光線条件を過去の経験則に照らして露出値を牽き出すものである。
これは開発者が自画自賛しているように下手な電気露出計より、
適切な選択をすれば正確な露出値を求めることができる場合が多いのだが、
その「光線条件」を正しく選択するのは決して容易な作業ではない。
まず太陽光が被写体にどのように降り注ぐのかを想定するためには、
季節(月)と時刻と場所(緯度)を正確に選ばなければならない。
もちろん天気も非常に重要な要素なので適切に選ばなければならない。
しかし、快晴はともかく、たとえば一口に曇天と言っても、
うっすらと掛かっている雲もあれば、夕立が来そうな真っ暗な雲もある。
しかしながら、たいていの場合は、それらの中間的な曇り方であろう。
なだらかに違いのあるものを適切な言葉に置き換えるときには迷いが生じるもので、
その結果、どうしても「まぁこんなものかな?」と適当に選んでしまう。
しかし、元になるデータが適当なら、牽き出される「答え」も適当になってしまう。
ここに計算尺(計算盤)露出計の最大の問題点があったのである。 |