Mamiya ZE Quartz

●カメラについて

Mamiya ZE QuartzボディとMamiya-Sekor Macro E 50mm F3.5レンズ

 1980年7月に発売された35mm判一眼レフカメラで,マミヤの35mm判一眼レフカメラとしては,最後のシリーズになる。シャッターは電子制御で,「クォーツ(水晶振動子)を使った正確なシャッター速度を実現した」というのがセールスポイントであった。日本国内では「ZEクォーツ」という名称で流通したが,輸出モデルには「クォーツ」という名称はつけられていないようだ。上記画像のカメラは輸出モデルであり,やはり「Quartz」の文字が記されていない。
 シャッターのクォーツ制御とあわせて,小型軽量なボディもセールスポイントであった。カメラボディのみのカタログ上の値は,高さ88.5mm,幅139.5mm,奥行き50.5mmで,重さは445gであり,小型軽量化のムーブメントにさらされるまでの金属製メカニカルカメラの半分くらいの重さになっている。そのためにプラスチック部品が多用され,いわゆる「質感」というものが犠牲になったようで,手にしたときにはずいぶんちゃちな印象を受ける。カメラボディ外観を構成するプラスチックはかなり薄いもののようで,衝撃などから内部の機構を十分に守ることができないことが懸念される。実際,このカメラはペンタプリズム部に小さな凹みが見えるが,これによって内部の基盤に取りつけられていた抵抗器が破損し,正常に動作しなくなっていたものである。小型ボディに,部品がぎっしりつめこまれていることも,原因の1つと言えるだろう。内部機構にもプラスチック部品が使われているようで,一部の部品が摩耗してしまっているせいか,巻き上げ後,シャッターレリーズ動作をしなくても,引き続き巻き上げができる状態になっている。金属部品の工作精度もあまりよくないのか,レンズを取りつける際に,レンズがはまる「カチッ」とした感触も不明瞭である。
 このカメラの最大の特徴は,レンズマウントにある。レンズマウントの形状自体は,前シリーズのNC1000sのものを流用しているようだが(そのため,M42マウントレンズアダプタは,NCシリーズとZEシリーズで共通のものになっている),その内側に多数の電気接点が設けられ,さまざまな情報をやりとりできるようになっている。ただしレンズ側には10個の接点があるのに対し,ZEボディには3個しか接点がなく,やりとりできる情報のごく一部(開放絞り値,最小絞り値)しか使っていない。

ミラクルマウントの電気接点

 機械的には安っぽく,工作上の完成度も低いと言わざるを得ないカメラであるが,シャッターのクォーツ制御やレンズマウントに多数の電気接点を設けていることなど,電子回路としてはたいへん意欲的なカメラであると言うことができるだろう。

●撮影について

「AUTO」のほかには,AEロック,B,Xがある。

 マミヤZEの露出モードは,絞り優先AE専用となっている。シャッター速度は1〜1/1000秒をカバーしており,そのほかB(バルブ)撮影も可能である。そのほか,フラッシュ撮影専用のX(1/90秒)のモードがある。シャッターはクォーツ制御になっており,電源として1.5Vボタン電池(LR44またはSR44)4個が必要である。なお,BとXはメカニカル制御であり,電池がなくても動作する。
 絞り優先AE専用カメラであるが,露出補正(プラスマイナス2段階まで)やAEロックポジションがあるため,実用上は問題ない。ファインダー内には,LEDによるドットでシャッター速度が表示される。表示される範囲は1/1000秒〜1/30秒とLTになっており,1/15秒より露光時間が長い場合のシャッター速度はわからない。これはLT表示を「手ぶれ警告」であるとし,三脚を使ったりフラッシュ撮影をするように促しているものと解釈すべきだろう。どちらかというと初心者を対象に考え,余計な情報を与えないことで「わかりやすい」ユーザインタフェースにすることを狙ったものと思われる。
 オプション品として,ワインダーが用意されている。単3乾電池4本で動作し,2コマ/秒の連続撮影が可能である。1コマ撮りと連続撮影の切り替えスイッチ等はなく,シャッターレリーズボタンを押しっぱなしにすると,そのまま連続撮影ができるようになっている。

マミヤZEクォーツにワインダーZEを装着

(by MATIA)


もどる