Mamiya Press

●カメラについて

初代マミヤプレスボディ マミヤセコール90mm F3.5付き

 マミヤプレスは,国産初の本格的大型プレスカメラとして,1960年9月に発売された。6×6判よりも大きなサイズの撮影ができる国産の大型カメラは,組立暗箱を除けば,トプコン・ホースマンプレス,トヨビューとアートビューくらいしかなかったような時代である(「写真工業」1960年12月号の記事による)。
 初代マミヤプレスは,日本カメラショーの「カメラ総合カタログ vol.1」(1960年3月1日発行)にも掲載されている。「新発売!ついに現われたマミヤのプレス」という見出しのもとに,標準90mmレンズのほか,広角65mmレンズ,望遠150mmレンズが用意されていることなどの特徴が記されている。大きな特徴としては,当初から交換レンズが充実したシステムカメラを指向していたことのほかに,後部チルトのみだがアオリ撮影に対応していることがあげられる。

バック部は4本の支柱に支えられ,それぞれ自由に引き出すことができる。

 フィルムホルダを取りつけるバック部を引き出すと,4本の支柱で支えられていることがわかる。それぞれ独立したつまみでロックをすることができるので,ボディに平行に引き出すだけでなく,傾けて引き出すこともできる。これによって,チルトアオリが可能になる。ただし,この操作はけっして容易ではない。この機能は,アオリ用として使うだけでなく,もちろん接写用として使うことも可能だ。

小柄に見えるグレーのボディ。

 6×9判の撮影に対応した大型カメラでありながら,ボディはコンパクトである。また,頑丈につくられており,多少,乱暴に扱われても,故障することはあまりなかっただろうと思われる。もっとも,距離計以外に,故障しそうな場所はなかなか見つからないのだが。
 ボディのシルエットやそのグレーの色も,このカメラに軽快な印象を与える。しかしながら,実際には決して軽くない。さらにレンズやフィルムホルダを加えると,実に重いカメラになるのだ。

●撮影について

 マミヤプレスは,レンズやフィルムホルダ等を,いろいろなものに交換して撮影することが可能である。その自由度が高い反面,それらの連動機能は皆無である。とくに,巻き上げとシャッターチャージが連動していないため,慣れないと「二重写し」や「未露光で巻き上げ」といった操作ミスを犯しやすい。そのほか,「フィルムホルダの引き蓋抜き忘れ」「引き蓋をはめずにレンズ交換をした」など,操作を間違えて撮影結果をだめにしてしまう機会には事欠かない。
 だが,6×9判という大画面を,豊富な交換レンズとともに楽しめるシステムカメラとして,マミヤプレスシリーズは貴重な存在だ。後の機種とも,ほとんどのシステムが共用できることも,ありがたい。

(by MATIA)


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