Mamiya U

●カメラについて

 1981年7月に発売されたコンパクトカメラである。カタログ上の値は,高さ66mm,幅115mm,奥行き45mmで,電池を除いた重さは220gであり,当時のライカ判カメラとしては,かなり小型軽量の部類になる。電源には,当時のフラッシュ内蔵コンパクトカメラで一般的だった単3乾電池2本ではなく,より小型の単4乾電池2本を使用するようになっており,これも小型軽量化に貢献している。
 外見は,曲面を意識した独特のデザインとなっており,一目で見る者を魅了するだろう。レンズ部分にバリアをもっていることから,1979年のオリンパスXA以来の流行である「ケースレスカメラ」のスタイルとなっている。
 露出調整はプログラムAE式で,シャッター速度は1/8〜1/500秒の範囲をカバーしている。ピント調整は目測式で,レンズ部分の根元に距離目盛が記されている。それ以外に,ゾーンフォーカスのピクトグラムも併記されており,これは,あわせてあるマークだけが見えるようになっている。ピントにこだわりたい用途にも,あまりピントを意識せずに気軽に撮りたい用途にも,両方に対応しようという配慮だと思われる。この点をオリンパスXAシリーズと比較してみると,高級機XAは厳密にピントがあわせられる二重像合致式距離計を内蔵しているのに対し,廉価版のXA2はピクトグラムによるゾーンフォーカスとなっており,距離目盛が省略されている。XA2は,ピントなどをあまり意識しないで気軽に撮る用途に特化されたカメラであると言うことができ,それだけカメラの性格が明瞭になっている。オリンパスXA2にくらべてマミヤUをあまり見かけることがない(それだけ売れなかったということか?)のは,そういうカメラの性格が明瞭かどうか,という要素も原因の1つであると思われる。

●バリエーション

 マミヤUには,ブラックボディとシルバーボディのバリエーションがある。また,ブラックボディについては,前期型と後期型の2つのタイプが認められる。
 前期型と後期型の相違点は,2点ある。
 1点は,レンズバリアを開閉するレバーの部分の色である。後期型は,レンズカバーを開くと,そこが黄色く見えるようになっており,レンズカバーが開いていることが視認しやすい。前期型では,レンズカバーを閉じているときも開いているときも黒い(地色の)ままである。
 もう1点は,ゾーンフォーカスのピクトグラムである。ピクトグラムは黒地に黄色でプリントされているが,後期型では距離3mに対応するマークだけ逆に,黄色地に黒でプリントされている。ピント位置が3mということは,日中にここにあわせて,近距離から遠景までほぼ被写界深度内にはいるということである。ピント調整を不要に(容易に)する工夫の1つであると言える。なお,たびたび引き合いにだすオリンパスXA2では,レンズバリアを閉じると,ピント位置が約3mに戻るようになっている。こういう点からも,オリンパスXA2の完成度の高さが感じられる。
 さて,これらの違いとシリアルナンバーの関係を見てみると,ブラックボディの100万台のものが前期型に相当し,それ以外のもの(シルバーボディおよびブラックボディの200万台ならびに300万台のもの)が後期型に相当するようである。

表 マミヤUの前期型と後期型
 前期型後期型
レンズバリア開閉レバー 閉じているとき:黒(地色)


開いているとき:黒(地色)
閉じているとき:黒(地色)


開いているとき:黄色
ゾーンフォーカスマーク 3m:黒地に黄色


その他:黒地に黄色
3m:黄色地に黒


その他:黒地に黄色
確認されたシリアルナンバー 100万台(ブラック)
 1078412(ブラック)
 1093490(ブラック)
 1105565(ブラック)
 
100万台(シルバー)
 1100273(シルバー)
 
200万台(ブラック,シルバー)
 2030601(シルバー)
 2102881(シルバー)
 2102902(ブラック)
 
300万台
 3010755(シルバー)
 3023889(ブラック)
 

●撮影について

 フィルム装てん後,背面のノブでフィルムを巻き上げ,距離目盛(あるいはゾーンフォーカスマーク)を見て目測でピント調整をおこない,シャッターレリーズボタンを押すことで撮影ができる。露出調整はプログラムAEで自動化されている。ファインダー内に露出不足の警告が表示された場合は,カメラ前面のレバーを操作して内蔵フラッシュを手動でポップアップし,チャージランプが点灯してからシャッターレリーズボタンを押すことでフラッシュ撮影ができる。フィルム感度は,ISO25からISO400の範囲で手動で設定する。ISO100のフィルムを使用すれば,これを利用してプラスマイナス2段階の露出補正が可能となる。
 レンズは,SEKOR LENS 35mm F2.8となっている。たとえばミノルタがROKKORをMINOLTA LENS,オリンパスがZUIKOをOLYMPUS LENSなどと表記し,カメラとレンズのブランドを統一するような動きが見られはじめる時期ではあるが,MAMIYA-SEKORをSEKOR LENSと表記して,MAMIYA LENSと表記しなかったことはそのような流れとは関係ないのかもしれない。もしかすると,ニコンがコンパクトカメラ(ピカイチシリーズ)などのレンズにNIKKORではなくNikon LENSと表記したように,「廉価版レンズ」という意味合いを持たせていたのだろうか?もっとも,マミヤUに搭載されたSEKOR LENS 35mm F2.8は,当時のコンパクトカメラで一般的だった3群4枚構成のものではなく,4群5枚構成のやや贅沢な仕様となっている。


Mamiya U, SEKOR LENS 38mm F2.8, FUJI Super100

●オプション

 「おくのてクン」という名称の,テーブル三脚(二脚というべき?)というか,足つきケースが用意されていた。日本カメラショー「カメラ総合カタログ」には掲載されていないものなので,限定付属品などの販促品と思われる。

 「おくのてクン」という名称が示すように,カメラを2つの「手」が支えているようなデザインになっている。しかし,目立つのは,「手」よりも「足」のほうだ。この「足」にはギミックがあり,靴の裏をめくるとそこに,予備の電池(単4型乾電池)を左右に1本ずつ,計2本を収納できるようになっている。

 この白い「おくのてクン」は,本来,シルバーボディ用のものである。ブラックボディ用の黒い「おくのてクン」もあったようだが,私は実物を見たことがない。ほとんど見かけることのないオプション品だが,本体である「マミヤU」そのものも中古カメラ店にあまり出回らない機種なので,「おくのてクン」の正体がわからずに思いがけず安価に売られていることがあるかもしれない。期待して,さがしてみよう。

(by MATIA)


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