マミヤ35S2型は,前モデルのマミヤ35S型をモデルチェンジしたカメラとして,1959年に発売された。マミヤ35S型とくらべると,ファインダーにブライトフレームが入ったことが大きな変更点である。そのため,正面からみたときのファインダー窓が大きくなり,見た目の印象もより近代的なものにかわっている。
マミヤ35S2型は,マミヤから発売された露出計を内蔵しない35mm判レンズシャッターカメラとしては,末期のものである。コパルSVシャッターを搭載し,シャッター速度はBおよび1秒〜1/500秒で,等倍系列等間隔目盛になっている。二重像合致式距離計に連動したファインダーをもっており,たいへん実用性の高いカメラになっている。
マミヤ35S2型には,4群6枚構成の48mm F1.9レンズ(MAMIYA-SEKOR FC)を搭載したモデルと,3群3枚構成の48mm F2.8レンズ(MAMIYA-SEKOR T)を搭載したモデルがある。
5月に発売されたF2.8レンズのモデルの価格(*1)はカメラのみ¥13,000,9月に発売されたF1.9レンズのモデルの価格(*2)はカメラのみ¥17,200である。カタログ上の値は,高さ76mm,幅131mm,奥行き70mm(F2.8は68mm),重さ667gとなっており,ほぼ同じ大きさ,重さである。
両者には,装着されたレンズのほか,ファインダーの機構にも違いがみられる。F1.9レンズのモデルでは,ファインダーにパララクスの自動補正機能が組みこまれている。これに対してF2.8レンズのモデルでは,パララクス補正マークが示されているだけ,自動補正機能は組みこまれていない。
ボディの形状にも,2つのバリエーションが認められる。具体的には,ファインダーの左右にある「段」の数が異なっていることである。これは確認されたシリアルナンバーから,製造時期による差異と考えられ,2段になっているものが前期モデル,1段になっているものが後期モデルと考えられる。おおむね,シリアルナンバーの1180000台半ば以降が,1段ボディの後期モデルになっているようだ。また,シリアルナンバー上3ケタのうち115,116,118のものはF2.8レンズ,117,119のものはF1.9レンズのモデルに割り当てられているようであるが,119でF2.8レンズというものの存在も認められる。
1段型 | 2段型 | |
---|---|---|
確認された シリアルナンバー |
1185388 (F2.8) 1187733 (F1.9) 1190617 (F2.8) ft.表示 1195262 (F1.9) |
1156146 (F2.8) 1169000 (F2.8) 1174585 (F1.9) 1174830 (F1.9) 1176437 (F1.9) 1959.09.30 1176777 (F1.9) 1181526 (F2.8) |
いただいた情報によれば,No.1176437は1959年9月30日に購入したものとのこと。まさに,発売直後のもののようである。
巻き上げレバー,十分な範囲をカバーするシャッターや絞り,二重像合致式連動距離計など,マニュアルカメラとして機能的にはほぼ完成されていると言える。すなわち機能的には,大きな特徴はない。この後にマミヤから発売された35mm判レンズシャッター式カメラに,すべて露出計が内蔵されるようになったのも,当然の流れなのかもしれない。また,1959年前後にはモデルチェンジが激しく,複数のモデルが並行して出荷されていたようであり,部品の共用などの関係から,細かい差異はさまざまに見られることが予想される。
*1 http://www.mamiya.co.jp/home/camera/museum/saishu-page/1950/mamiya35-s-2-f28.htm
*2 http://www.mamiya.co.jp/home/camera/museum/saishu-page/1950/mamiya35-s-2-f19.htm